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by wa-connection

2012年フィンランド大統領選 その1

さて今年は米国、ロシア、中国と多くの国で首長が変わる(または変わらない・・・)年ですね。フィンランドも余り注目はされていませんが、6年に一度の大統領選で1月22日(日)に第一回投票がありました。
この段階で、各党から出馬していた8名の候補者から上位2名が決戦に残りました。

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この8名、多様な顔ぶれでした。




1)社会民主党(SDP)過去の大統領3名が真っ赤な薔薇がシンボルのこの党からでした。90年代から2度首相だったパーヴォ・リッポネン(70歳)が立候補。
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この人はちょっと年が行きすぎだとか、広告が変だったとか(彼がPöh「ポ」と言っている写真)、はたまた奥さんが年寄りとか(まだ44歳で、夫の知名度で後に国会当選。夫より26歳若い!)一番の原因は首相時代に不況が直撃し、様々な政策を断行し恨みを買ったことや、EU加盟を積極的に勧めたことで保守党寄りだと党内でも批判があった事、党の正式候補決定が遅かった事、自ら炭田の企業経営者についていて、そういう立場の人間が立候補するのはどうか、と思われた事などのようです。更に、3代続いてSDPの大統領であった為に、国民は変化を求めたともいわれています。あー雰囲気がシュレックに似てるのは関係ないです、きっと。数々の要職も歴任していたんですけれどね、内閣が変わった後は国会議長でふんぞり返りましたし、その仕事辞めた後も国会議事堂内に部屋をキープして自伝書いてましたよ、この御仁。んなもん自宅で書け!と思いました。

2)左翼連合:党代表、パーヴォ・アルヒンマキ。30代で元サッカー選手。格好見たらジーンズも多くてそんな雰囲気です。現連立政権ではごちゃまぜ内閣なんですけど、アングラ・カルチャーをこよなく愛する彼に、幸か不幸か文化スポーツ大臣のお役が。今年落成した、ヘルシンキ・ミュージックホールの記念コンサートに欠席して、リトアニアで開催されたバスケットボールの試合観戦にいった為、物議をかもしました。
そして各地のオーケストラの補助金減らすと噂が昨年から出ており、それが残念ながら現実になりそうです。(各地でコンサート数や客演が減る見込み)今はこんな地位にあがっちゃってますけど、数年前まで、大統領邸での独立記念日パーティ参加者に投石行為していたとか。
昨年12月6日はおとなしく招待されてましたけど、昔の仲間には何ていったんでしょう?

3)中央党:2011年4月総選挙で野党に転落、地方での農業、林業関連従事者からの支持が段々揺らいできているのでしょうか。まだ高齢者に頼っているともいえます。候補はKY(空気読めない)パーヴォ・ヴァュリュネン。3枚目なのも気の毒ですが、選挙キャンペーンも自信たっぷり、大臣職は何度か務めていますが、我こそは!とどこにでもしゃしゃり出てくる所が鼻につきます。今回も「俺しか無理だろ、これは!」といわんばかりに、奥さんVuokkoさんと二人ラブラブな写真をコーヒーマグにプリントしたキャンペーン商品が、意外や大ヒット・・・(フィンランド、こういうところ動きが読めません) 以下は新聞広告ですが、マグはこんな感じの二人のツーショットをハート型に縁取りしたもの。ださくない?でもそれがツボだったのか、すごく受けてたんですけど。
スローガンは
良い新年を! Hyvää Uutta Vuotta! にかけて、
良い六年を!Hyvää Kuutta Vuotta! (大統領任期が6年だから。ここにも自信の程が・・・)
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しゃかりきにありとあらゆる討論番組に出演し(つられて他の候補者も討論番組ラリー参加を余儀なくされ、最後は皆さんかなりお疲れでした)浪々と自らを説いてまわり、国中の小さな町村の市場を週末周り、頑張ってました。が、第一ラウンドの当日猛追した緑の党のハーヴィストに僅差で破れ、言い訳として「投票しなかった人が多すぎる」とのこと。あくまで非は他にあると言いたげですね。
そして大統領選で敗北を認めた後は、今年夏の党の代表戦に出る気満々です。党中枢部は冷めた反応です。懲りないというか、いやもうあなたのその自信は天晴れとしかいいようがありません!
自信のない人に分けてあげたい。

4)RKP,スウェーデン語国民党のエヴァ・ビアウデッ(ト)。前大臣職だったりもしましたが、いかんせん小さい党で支持率も足りない。RKPからも本命、ダークホース投票した人多かったのではと思います。

5)キリスト民主党:現在EU議員であるサリ・エッザヤ女史は、なかなかしっかりした人で、元競歩選手。こちらも弱小の党候補である点がとても惜しかったです。彼女が大きな党からであれば数字は変わっていたと思います。

6)知名度を上げた(でも男っぷりは・・・)な真のフィンランド人党:ティモ・ソイニ。恰幅もよくますます鼻の穴広がってますが、彼のせいではないですね。弁舌すべらかに2010年の総選挙では追い風を利用し、ポピュリストと皆分かっていても抗えない力があって、外国人を嫌う、恐れる雰囲気も手伝ってこの党が各地で躍進しました。「そんなのいや~スウェーデンに引っ越す~」 とFacebookなどで怒ってた人も多かったです。というのもこの党の支持者や当選者が人種差別的な発言を繰り返し、処分を受けてもどこ吹く風、という流れで党首のソイニに対してもちゃんとしてくれよ、と風当たりも強くなっていました。この党の場合、候補となりうるのは代表である彼しかいないので(層が薄い)今回も出馬。6年前も出ています。ただ今回やる気は余り見えなかったです。年末にも他の候補者が選挙活動しているとき、家族と南欧にバカンスに行っていました。
なんだか影が少し薄くなって、発言も丸くなったような。ソイニさん、EU議員にも当選したんですけどね、現場がどうなってるのか見てくるって。
今回はダメでしたね。
下馬評と、海外からはどうなるのかかなり注目されていたと思いますが。

では本命?のダークホース。
7)緑の党:ペッカ・ハーヴィスト。白状します。私彼が立候補するまで、まーったくこの人の事知りませんでした。マークもしていませんでした。
初めてへぇと思ったのは、12月の独立記念日パーティにて彼の“奥さん”であるエクアドル人のアントニオ君(33歳、美容師)が大統領候補者の配偶者3名と一緒に紹介されたときでした。(画像参照)
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これはいわば大統領邸後にあった2次会でインタビューを受けた3人の配偶者達。「もしあなたのパートナーが当選したら独立記念パーティをどう変えたいですか?」と言う質問でフローレス君が「伝統を保っていきたい。僕は自分の仕事は続けたいし表に出ようとは思わないです」と応えていて、これは好感度上がったのではと思いました。ただでさえ緑の党はフィンランドではアンニ・シンネマキ代表時に原発原則許可を出した内閣にいた為に、支持率が下がりました。ドイツなどと逆ですね。
小さな野党にはジレンマでしょうね、動きを変えたい、しかし内閣に入ると多勢に無勢で意見が通らない。昨年、森ガールっぽいアンニ・シンネマキからヴィッレ・ニーニストに代表も変わりました。このニーニストは国際結婚、といっても妻はスウェーデン人ですが、夫婦して自国の緑の党の政治家です。最近スウェーデンでも緑の党があまりうまくいっていないのですが、こちらはこれから盛り返そうとしています。ちなみに、ニーニストという名前でもしやと思われるかもしれませんが、彼は大統領候補のサウリ・ニーニストの甥っ子です。ただし叔父とはイデオロギーが異なり国民連合党には入らず緑の道を選びました。

ハーヴィストに戻ります。彼とニーニストでは政策上の違いはそこまで明確ではありません。二人とも高学歴で語学力もあり、大臣職もつとめ、国際的な場での経験もあると。グローバリゼーションはフィンランドにとってメリットであると考えるところも。また二人とも、所属政党のど真ん中を行くわけではなく、ちょっと外れたところにいるのも類似点でしょうか。

一番の違いは、私生活で現れています。53歳のハーヴィストはゲイで前述の男性パートナーがいること、兵役に行かず奉仕活動で義務を遂行したことでしょうか。話術もありフレンドリーで頭もいいけれども、フィンランド人を全て代表する大統領としては相応しくないと思う人はニーニストに票を入れたのでしょう。(大統領は軍隊のトップでもあるので)
アントニオ君が昨年秋に母国エクアドルに里帰りした時、飲酒運転でつかまった事はちょっとしたスキャンダルになりましたが、ハーヴィストは「飲酒運転している人物が警察に捕まるのはその人にとって一番いいことだ」と弁明。
また、緑の党にはその昔左翼でかなりならしたかなりラディカルな人たちも多く、ハーヴィストも昔SDPの党雑誌の記者(夏のバイト)をした事で、SDPに呼ばれて演説をしたとき「古巣に戻ったようで嬉しい」とアピールしたと先週の新聞で書かれていましたから、過去の背景はやや左寄り、といえるかもしれません。

大統領選で毎回顕著なのは、支持政党よりも候補者の政策や雰囲気、魅力で投票を決める人が非常に多いということでしょうか。

第一投票ラウンドが終わりに近づくに連れて、支持率がジリジリとあがり、首都圏の特に最後までどちらか決めていなかった若い層が選挙当日ハーヴィストに投票した事でギリギリでの2位当確が分かったときはいや本当に選挙は魔物だと思いました。何にも邪魔されない勢いってあるんですよね。

さて、本命
7)国民連合党(Kansallinen kokoomus,略してKok)のサウリ・ニーニストです。
ニーニストは6年前も立候補し、幅広い支持を集めながらも二期目当選を果たしたタルヤ・ハロネンにわずかに及ばず負けを喫しました。(ハロネン51.8%、ニーニスト48.2%)

ニーニストは学歴でいうと判事、トゥルク近くのサロにて、自らの弁護士事務所経営、市議会などを経て40歳近くで国会議員に当選しました。(意外と遅めの国政デビュー)最初の夫人を交通事故で亡くした後、男やもめを長く続け、数年間中央党の元ミス・フィンランド議員(文化大臣にもなったが、お騒がせ話題も多い人)と婚約までしましたが性格の不一致で別離。その後、同じ党で広報担当として働いていたポリ出身のイェンニ・ハウキオと(年の差30才)電撃結婚。未だに交際のきっかけは秘密だそうです。性格は公正かつ厳しく、お馬鹿な人は我慢できないとか。一つのエピソードは以前アシスタント2名をクビにしたとき、「これは1+1が0になりうるいい例だ」と言っていたそう。キビしぃ~。予備兵のランクで現在は大将(キャプテン)。

年末までの討論番組ではもうイヤと言うほどフィンランドのNATO参加についての意見を候補者達から質問し、少しでも肯定的なら叩く(特にYLEはその国営放送の成り立ち上、左翼色が強いので)雰囲気があったと思います。ロシアとの関係がフィンランド外交の一番重要なポイントでもあるので、大きな組織にはいるのか、一国でやられるのを待つのか、かといって大きな組織(NATO)にはいるとロシアが機嫌を損ねるじゃんか、どうすんだ、というのがこれまでの大多数左翼系の論点です。あとは差別問題から、市町村合併から、財政からEU、ギリシャ問題から、全てのフィンランドでの事象についてYesかNoかその理由を聞き正して、あげ足取りも多少見られましたっけ。

実は私は飽きてしてしまって討論番組は殆ど見ずに新聞で結果だけ追っていたのですが、立候補者も出演するテレビ、ラジオ番組、キャンペーンで巡回する場所と本当に忙しくて大変だったようです。

第一回の8名のうち、実際にレースに参加していたといえるのは4名。
ニーニスト、ソイニ、ヴァュリュネン、ハーヴィストでした。本投票が近づいてハーヴィストとヴァュリネンが抜きん出て2位争いとなり、当日の後半でハーヴィストがヘルシンキの票をカウントするにつれ抜いていったと言う結果でした。ヘルシンキでのハーヴィストの人気が伺えました。

では、結果の出た第二ラウンドは次の記事で。
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by wa-connection | 2012-02-06 08:35 | finnish news