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by wa-connection

2012年フィンランド大統領選 その2

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さて、大統領は何をするのか?

一言でいえば、外交と安全保障問題に関して国を代表します。
国際会議などで国の代表として出席する、ここに外務大臣などが同行したり首相が同行したり。
ハロネン大統領在任の特に2期目(2月末で終わり)時は、誰がどこに出るかでケンケンガクガクの椅子取り競争がありました。

日本人からすると国のトップを選べるなんていいなぁと思ったものですが、フィンランドでも首相は国民当票では選べません。
総選挙で国会議員を選び、明確に過半数を得た政党が与党となり、党代表が首相となります。組み合わせはこれまでも赤・土(SDP+中央党)内閣、青・赤内閣(国民連合+SDP)、青・土(国民連合+中央党)など、、昨年4月の総選挙では実に久しぶりに国民連合党がトップとはなったものの、僅差で社会民主党が追い上げ、2党では過半数に足りずに複数の小さな党を抱き込んで連立政権を2ヶ月近くかけて協議しようやく組閣するに至っています。(その際妥協を多く重ねた為、税金や福祉や失業率対策など白紙のままの政策ガイドラインが多くあり案の定もめています。)

フィンランドで国民投票で大統領を選んだのがいつかご存知ですか?





1995年、マルッティ・アハティサーリ(ノーベル平和賞を何度も逃した後受賞した、現在では国際紛争交渉の一人者です)が初めてだったのです。

ついこの間です。意外と歴史が浅いと思いませんか?
1917年の独立後は長い間政情不安定で世界大戦、内戦などいろいろあり、国会などで例外的に大統領を選んでいたため、またvalitsijamiehetという選出人システムがあり、コイヴィスト大統領はこのシステムで選出されています。ケッコネンは当時の政治的リークを利用し、本来なら選出員の選挙を経るはずが、国会で例外的法措置を設立させ、自らを3度目の再選に導いています。(ありえない、、、フィンランド暗黒の時代ですよ)

次に本日の投票率について。
6年前の第二ラウンドの投票率は77.2%。
今回はかなり落ちて68.9%でした。

事前投票で150万票ほどが投票され、恐らく投票日はもっと人が動くのではと期待されましたが、なんと選挙当日はそれよりも少ない投票数でした。
これは第2ラウンドに残った候補者二人の政策的な差が見分けにくかった事、どちらも自分の候補者では無いと感じた有権者が多かったのではと言われています。
(画像参照:左、今回の地方毎の投票率、真ん中は2006年大統領選、右端は2011年総選挙)
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2月5日(日)フィンランド時間21時前に国営放送YLEの開票予測が出て(外れることは余りない)ニーニスト当確、となりました。

さて開票結果は、
得票率 サウリ・ニーニスト 62.6%  ペッカ・ハーヴィスト 37.4%
得票数          1,802,400 票          1,076,957 票 
でした。

判別不能、いたずら書きなどで破棄された数は過去最高、2万票以上あったそうです。

当選後のスピーチで、サウリ・ニーニストにどういう6年間にしたいですか、との問いに対し、
「実は価値観の代表者という言葉は好きでは無いです、個人皆が自分の価値観を持ってしかるべきで、私はそこに入り込みたくはない。ただ、何か(例えば差別など)問題が国全体で持ち上がったときに、その国民感情に対して一人ひとりが自分で何かできる事があるか、という事を考えてもらえるように発言はしたいし、しゃしゃり出ようとは思わないけれども、必要な時には公の場で声を上げていきます。また投票者のうちこれだけの人が私をサポートしてくれた事は本当に感謝しています。一人の人間として選ばれた事に対し、真摯に仕事に取り組んでいきます」と述べています。

ペッカ・ハーヴィストのスピーチは聞き逃しました。これまで聞いたところを総合すると、負けたけれどもいいキャンペーンができた。良かったのは色々な論点を提供できた事、選挙運動中例えば最終日にもいろいろな人が言ってくれた、これから対立ではなくて一つになって困難に向かい力を合わせ立ち向かっていこう、フィンランド国内だけでなく国際的にも、という内容だったのではと思います。

色々な人が二人ともいい候補者だと言っていたのが印象的です。
政党を超えて、また同性愛者でもサウリ・ニーニストを支持したり(芸能人Marko Bjurkström
とか)、スウェーデン国民党RKPの前々回大統領で良い所までいったエリザベス・レーンがペッカ・ハーヴィスト支持に回ったのも意外だったり。ベストセラー作家のソフィ・オクサネンは予想通りペッカを支持していたり。
RKP党首、キリスト民主党主はニーニスト支持でした。

一つ面白い記事があったのですが、両者への寄付について2月4日の新聞に出ていたものです。
ペッカ・ハーヴィストへの寄付金:
企業では、
コンサルティング企業Hjärnbruket (2万5千ユーロ)
サービス行従事者組合(8千ユーロ)
FiveCornersProduction(千ユーロ)
FullStreamProductions(千ユーロ)など
個人
Karri Nieminen (5千ユーロ)
Pertti Oskala(3500ユーロ)
アンニ・シンネマキ(元緑の党代表) (1500ユーロ)などなど・・・多いので全部書きません。
合計71万2千ユーロ。

<サウリ・ニーニスト>
企業
Paulig(1万ユーロ)
Rinta-Joupin autoliike(1万ユーロ)など
個人
テーム・セランネ(あのアイスホッケーの!)(1万ユーロ)
ヤリ・サラスヴオ(トレーナーズ・ハウス元社長) (5千ユーロ)
ヤルモ・リンタヨウッピ(上記車ディーラーの経営者?)(1万ユーロ)
ハリー・ハルキモ(ヘルシンキアリーナのオーナーで超・大金持ち。何もしなくても女性が寄ってきて結婚離婚を繰り返してます。)(1万ユーロ)
キミ・ライッコネン(キミちゃん!知らんかった・・・) (5千ユーロ)
マルクス・グロンホルム(まぁ、マルクスまで!)(5千ユーロ)
合計123万5千ユーロ。

と有名人も一部ありますが、大多数は5ユーロの携帯電話テキストメッセージから寄付ができるシステムを利用した国民からの寄付だったそうです。
6年前にギリギリ負けたニーニストに、今度こそ頑張りなよ、と思った人も多かったようです。
当時本当に僅差だったんですよ、得票率はハロネン51.8%、ニーニスト48.2%(2006.1.29)でした。
逆に言うと半数近くがハロネンを選ばなかった、、、とも見る事ができるわけです。
今回はそれに比べると差はかなり大きかったと思います。

ヘルシンキ駅で街頭インタビューされた人たちも様々な意見がありました。
ギリギリ選挙権Getしたと思われる女子3名は「ニーニストなんて嫌い~、パスポート持ってスウェーデン引っ越す~」と。どうぞどうぞ(笑)今スウェーデンの方が犯罪も多くて危なそうだけど?

今回の選挙では、家族内でも「支持者を明かさない」という伝統(vaalisalaisuus)が崩れ、多くの人が誰に投票したかをはっきりさせていたのも新しい動きでした。友人間であったり、紙上であったり、ソーシャルメディアなどであったり。最後の方は、Facebookで余りに自分の候補者支持表明する人が多いのでもううんざり!という声も多かったです。
またクリスマスの電飾を数字(立候補者の数字、ニーニストが6、ハーヴィストが2)に見立てて窓に飾る人も出てきたり。

そして右翼VS左翼という今までのようなはっきりした対立がなかったのも新たな側面でした。

過去3回ずっと、男VS女、保守対労働系がずっと続いていてある意味分かりやすい選挙でした。
保守の女性たちも、過去二度、女性だからとハロネンさんに票を入れていた人も多かったようです。

スウェーデンでも左翼が数十年権力を握り、学校や福祉で様々な弊害が出て保守党がトップについてからそれを修正しようとして今3年ちょっとたちましたか、、)見方も色々ありますが。

私自身は考え方的には保守派中道、、かと思いますが、かといってこの国民連合党(KOK)に全て任せられるかというとそうは思いません。いい政治家もいますが、自分の利益、選挙区の事しか考え無い人もどの党にも多く居て、国全体のメリット、来年、3年後の短期の効果でなく数十年後も考えて方向性を見せてくれる政治家、というのはなかなか見つからないです。

特にポリの同い年の弁護士出身のあいつ!なんでも知ってるって態度(そうじゃないくせに)が鼻持ちならん、それに女性部の絵画投資家から政治に入ったあのクチビル真っ赤な人!嘘っぽいスマイルが嫌で絶対お友達になりたくない!(なってもらえませんが)・・・まぁこんな感じです。
地元のKokoomus(国民連合党)で地元政治を任せたいと思える政治家、同じ世代ではとりあえず全く居ないかも知れません。目立たない人で真面目にやっている人はいると思いますが、目に付かない=知らないというわけで。

つまりは私の場合、政党そのものより人間が気に入らないのか、、、かといって左翼や社民、真のフィンランド人党はもってのほか、緑の党でも所属する人を見ると偏りすぎてて鳥肌が立ったり、しっくり来ないというところでしょうか。

サウリ・ニーニストはこの10年位、言葉が殆ど分からないころから追ってきた政治家ですが、新聞や本で読む内容が分かるにつれ(彼の最初の著作Viiden vuoden yksinäisyysは読みました。新しい方は読んでません)経験も十分重ねて、視野が広く簡単にまわりにあわせて逃げたりしない、嘘をつかない政治家だと見ています。同じ党内でも亀裂を恐れることなく何度も様々な発言をして党内でも煙たがる政治家は多いようです。国会議長時にも国会内の様々な無駄な出費をかなり節約させて、ブーイングも出ていました。

党首のカタイネン(私と同い年)が進めようとした大統領権限の縮小に関して「待った」をかけたときはちょっと信頼が揺らぎましたが(笑)これには賛否両方ありますね。大統領の権限をこれ以上減らしたら存在価値があるのか、とか、6年の任期をアメリカみたいに4年にしたらとか、いや費用がかさむとかこれまで6年でよかったのに何故だとか。

かなりニーニストに肩入れして書いていると思われるかもしれませんので、公正を期するために書きますと、ヘルシンギン・サノマット紙が2/4に両候補者の違いを何とかしてあぶりだそうとしてこれまでのインタビュー、討論番組、などから集めた内容で衝撃的だったのが(私にとっては)、

Q あなたはダライ・ラマに大統領として面会しますか?
ニーニスト「会わないと思います。中国の指導者が反応するからです。まずは、なぜ大統領がダライ・ラマと面会したいか、を中国のこの国の代表者に連絡し話し合いたいと思います」

ハーヴィスト「会います。中国に人権国家であるという事は、フィンランドの二国間外交で重要な点であると示したいと思います」

ニーニスト、お前もか!結局は彼も政治家と言う事でしょうか。しかし選挙前に正直に答えています。これで少なくとも少しは票を失っただろうに・・・
しかしハーヴィストさん、本当にそういう状況になったら実行できましたか?状況が許さないと言う事もあるかも・・・?

そして、今回は届かなかったペッカ・ハーヴィストもいい候補者でした。
選挙戦後半は、スマートな舌戦が多く、二人とも激することなく、相手の論点を看破しようとし、しっかり分析し、最後までそのスタイルを貫いていて、安心して見ていられました。
Facebookのハーヴィスト支持のページに、ニーニストの支持者が書き込んだのが、「自分も妻もニーニストの支持者だけれども、ハーヴィストの姿勢、知見、スタイルは尊敬する」と。
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フェアプレイ、上等!
私も相手をけなすことなくスマートに建設的に議論を進める、ぜひ学びたい姿勢です。
一生無理か・・・

ハーヴィストには、最初無名に近かったのが本命に対しここまで底力を見せたので、今後色々なオファーがくる事でしょう。
これから更に経験を広げ実力をつけ国政、EU、外交、環境と力をつけてもらいたいものです。6年前に緑の党の大統領候補だったヘイディ・ハウタラ候補(現在、開発大臣担当で難しい仕事です。炭鉱や鉱山を扱うのでフィンランドのラップランドは殆どが保護地区でも有り、ただし地場振興は必要で・・・)もすごく良かったんですよ。次はいい線いくんじゃないかと思っていたので、今回出馬しなかったのは残念でした。
そして前述のキリスト民主党のサリ・エザヤさんも一生懸命やっていて、色々な事をよく調べていて真摯な態度がとても良かったです。EU議会での彼女の仕事ぶりもっと追いたいと思いました。

首相、大統領と同じ党が占めましたが、外相はSDP(古狐、エルッキ・トゥオミオヤ)のまま。
早速今日も選挙特番で「これから協力はうまくいきそうですか?」と電話インタビューがありました。
「まぁ大きな変化はないと思う」と応えていましたが。

以前も書きましたが、エルッキ・トゥオミオヤ(SDPの中でもかなりの過激左派)はタルヤ・ハロネンの昔の彼氏。道理で旦那さんPenttiとひょろっとして尻に敷かれそうな雰囲気が似ている・・・いや失言でした。
エルッキは祖母が骨の髄まで左翼思想だった人で、近年映画も製作されました。翻って父親は経験豊かな国民連合党の政治家でした。その息子は逆を行って祖母の思想を受け継いだわけですね。ちなみにずっと独身です。もしやタルちゃんを恋しがっての事か・・・またまた下種の勘ぐりで失礼しました。

まぁそんな事はおいておいて、

今後6年、外交がどうなるのか、これまでと違い、ロシアに毅然とした態度を見せられるのか、
とてもとても楽しみです。


超・長文失礼しました。
以上、雑感交じりの大統領選挙レポートでした。
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by wa-connection | 2012-02-06 09:11 | finnish news