フィンランドで開業している私達のビジネス、ライフ・スタイル ブログです。 This is about our business and life in Pori, Finland.


by wa-connection

フィンランド原子力事情 2013-2014

<長文です>
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そうそう、久しぶりにフィンランド原発事情について。
以下の内容、以前書いたことも多少重複します。

画像は2013年12月の記事で、北部ピュハヨキの新原発、実現可能性が少し増す、という見出し。

北部ピュハヨキに建設許可(2010年に原則決定が国会で可決)が下りているフェンノヴォイマ原発。
地元も含む候補地域は、大体過疎地が多いもので、2010年国会で可決された時はもうみんな万歳三唱でもしかねない勢いでした。オルキルオト原発がある、エウラヨキの繁栄ぶりを見てきたからでしょう。

といっても、日本と違い、自治体に交付金なんてありません。箱モノだけ建てて後で維持管理の始末に困ったりもしてませんよ。
収入となるのは、原発関連施設(ふつうの住宅などに比べると税率は高いですが)の固定資産税だけです。しかも、最終処分場となるオンカロは多くが地下施設で固定資産税は地上にあるいくつかの小さな建造物以外は適用されず、税収になりません。
さらに!
エウラヨキ町は財政が潤っているため、国庫に自治体に納税された税金をさらに「ピンハネ」されているのです。(割合は忘れましたが)これは財政赤字自治体への補助金などに回されます。
そしてそして、近い将来の税制改革で、エウラヨキは国にもっと税金を納めることになりそうですが、「まぁ予想できたことだし、いいんじゃないの?」と町長さんこの1月のコメント。
いやー余裕です。

さてフェンノヴォイマ社。
一年ほど前に応札した中からアレヴァと東芝に絞られたあと、東芝が優先交渉権を得るところまで行ったのですが、
全体の1/3を占める大株主であったドイツの事業者E.Onがいち抜―けた、と撤退(わたしゃ、おお、Smart move!と思いました)。そして株主の大多数はフィンランドの地方の電力会社や電気をたーくさん使う製造業なのですが、面白いことにスーパーなど小売り大手なども入っており、この中からもいくつか撤退。電力料金変動が大きいことと最終処分の不確実性が背景にあったようです。
そして原子炉メーカーの選定の前に資本的な部分で危うくなったフェンノヴォイマ社上層部は各地を行脚、2013年後半まで「最後までちゃんと出資頼むよ、お願いね」ツアーを敢行していました。
オルキルオト原発のあるエウラヨキ町の隣町、ラウマ市も実は株主で、昨年10月に改めて出資すると約束したようです。

もともと計画されていた原子炉(出力160万キロワット級)が大型で、今後はどんどん省電力も進むし、産業も空洞化するし、と今後を考えた場合中型炉が望ましい、と昨年、ロシアのRosatom社がなんと新たに浮上。確か東芝にも既存中型炉はあったはずですが、ここは出資の面が関係したのでしょう。フェンノヴォイマは東芝とも交渉を終了し、Rosatom社が出資先確保および中型炉メーカーとなる見込みが高まっていました。

しかし折角エネルギー自立度を高めようとしていたのにいいの?ロシア製なんか持ち込んで?
しかも外部出資者って多分ロシア系でしょう?
何らかの形で干渉されたら、またポンコツ設計のものだったらどうするんだか?(私は特に夫の洗脳により、悪いイメージしかないので)オウル近郊、大丈夫?
しかも原発予定地、決定当初まだ草っぱらだったんですよ。インフラどころか、道路も何も無かった。
これからもろもろ、お金がかかりますな。

だからLoviisa原発に三基目の許可出しておけばよかったのにねぇ。繰り言ですが。

事態をややこしくしているのが、2010年に降りたこの国会での審議された申請内容では(Arevaや東芝などの)大型炉で、となっていました。原子炉の提供者も変わり、原子炉のタイプも変わり、当時の許可では一言も無かったRosatomの中型炉になった場合、国会で新たに審議しなおした方がいいんじゃないの?という政治家が多数。そりゃそうですよ・・・
与党(連立政権)のSDP、二重アゴ財務相ユッタちゃんも「フン、ぜったい再審議よね!」と昨年秋に鼻息荒く。

エネルギー政策を担当する雇用経済省の大臣は現在Jan Vapaavuori氏で、慎重な態度を崩していません。一年ぐらいかけて審議する、とはっきりしない感じ。(明言できないというか)

さらに大きな問題点は、フェンノヴォイマ社は、原子力法で定められている事業者が責任を課されている使用済燃料最終処分について解決策をまだ提示していないという点。そりゃすぐは使いませんよ、使用済燃料は最終処分できるぐらいまで40年ぐらいプールで中間保存するわけですから。だからって悠長に構えてると計画が立たないし費用の見込みもできないしで余計株主離れるんじゃ・・・

フェンノヴォイマはオルキルオト原発にあるオンカロに自分とこのゴミも入れさせてもらえばいいじゃん、と最初から考えていたようです。はい、とっても虫がいいです。

ただ、2013年の時点では、オルキルオト島の地下予定地には、Loviisa1,2号機およびOlkiluoto原発の1,2,3、4号機(4号機はまだメーカーすら決まってませんが)分しか入らない計算です。
ポシヴァ社はFortum社とTVO社の100%子会社なのでうちは親会社のゴミしか関係ないもんね、という態度でいたのが2012年終わりごろ。
そこで雇用省大臣(当時はユリ・ハカミエス氏。去年春に突然雇用者中央団体EKのトップに華々しく転身)から「待ったぁ~!誰も何も言うなぁ!」の鶴の一声で事態は落ち着きました。ポシヴァ側は、技術供与なら喜んでするけど、と言っています。
まぁなんだかんだ言って、この業界も互いの結束というか、関わり、結びつきが強いので何とかするんでしょうけどね。

と言うわけで、フェンノヴォイマ社も本気なら、そろそろ本腰を入れて最終処分候補地選定からそろそろ始めた方がいいんじゃないですかね。原発の町以外は、みんな不安感有るし、大体そういうこと嫌がるんだから。自然な気持ちですよね。
TVOも2~30年かけてやってきたようですし。日本も20年後をにらんでやっていった方がいいのでは。。。

フィンランドの現在稼働中の原発Loviisaは旧ソ連の原子炉2基を使っており、それもあって当初は使用済燃料もソ連に輸送していました。燃料の再利用、悪用を避けるためもあって法律が変わり、「国外に出さない,他から国内にも入れない」となっています。
対する西側のOlkiluoto原発はスウェーデンAsea-Atom社の原子炉2基。3号機はいまだいつ完成するやら?まったく分からないおフランスの元締めによる仕事ぶり責任のなすりつけ、フィンランド規制庁であるSTUKの重箱の隅をほじくる「ゴールデン・スタンダード」の呼び名も高い、厳しいチェックのたまものとなっております。

2009年完成予定だった・・・んですけどね、Arevaがそれまでと同じようにサプライヤーだけやっとけばよかったのに、“あとはスイッチポンでオッケー!=Avaimet käteen (Turnkey basis)”なんて契約しちゃうから。三号機のオペレータとして就職した人たち、現在7年もトレーニング積んでかなりベテランですよ、シュミレーションばかりで実務やってないけど。
これについてはまた今度。
ArevaとTVOの誰が尻拭いする(大幅オーバーの費用)かで裁判で係争中であります。


長かったのですが、はい、ここまでが背景です。
2013年12月のこの記事にやっと話を戻しますと、夏からの計画通り、12月にフェンノヴォイマ社が、Rosatom社と原子炉供給についての契約調印となったという話です。Rosatom社は外部出資先も探すことになっています。これでほんの少し、前進といったところ。
ただ、政治的には国会も国の産業への投資が必要な事への理解はあるので再審議となってもとん挫することはないのでは、という社説の見方と、ただし連立政権の中で左翼連合と緑の党がまた審議するの嫌がっているようだ、ということが書かれています。原発推進政策にタッチすると党のイメージまた悪化しますからね。

2015年までに政府に建設許可申請を出さなくてはならないので、あと一年でどうなるか、というところですねぇ。
大きな問題は上でも触れた最終処分の解決法とその経済的な負担です。現行の原子力法では最終処分は国内にしなくてはならないとなっていますから。モンゴルだとか宇宙だとか最初から選択肢に無いのです。代わりに強固な岩盤があるのは日本にない、とても大きな地の利ですが。

これまで見てきた感じでは北部の原発計画、いばらの道続きでダメになるんじゃないかなぁと。
1,2年後やっぱり間違ってました!と報告するかもしれませんが。
今後もしっかり見守っていきたいと思います。
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by wa-connection | 2014-01-17 06:57 | finland in general