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by wa-connection

フィンランドの美術館危機を救う

実際は下手するとそうなりかねない、というところかもしれませんが、現在ヘルシンキの幾つかの美術館が改修/拡張工事中です。
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これは10月の新聞記事から読んだものですが、
現在国立美術館アテネウムは3階が改修のため閉鎖中。
ヘルシンキ市立美術館は拡張工事のため来秋まで閉鎖中。
アモス・アンダーセン美術館もラシパラッツィLasipalatsiの広場の下へ移転計画中。

でもってヘルシンキに誘致しようとしているグッゲンハイム美術館は現在建築デザインコンペのファイナリストが発表されていますが、資金確保はまだまだどうなることやら、、、の状態。

というわけでヘルシンキの美術館関係者は改めて新装オープンした後、いかに集客をするか頭をひねっているというところらしい。

そこで呼ばれたのが英国でテートやV&A美術館の救世主となったDamien Whitmore氏。
彼は現在世界の様々な美術館に対しコンサルティングで引っ張りだこだそうです。発言もかなり強気。

ヘルシンキに来た時の講演では、「美術館にとって、もっとも大切な人は誰でしょう?」
という彼の質問に対し、関係者は、、、、「キュレーター?」
ダミアンさん、眉間の皺深まる。全然求める答えと違う模様。
何度かやり取りを経て、最終的に正解が。「そう!美術館に足を運ぶ人です!」

いやぁ、こういう態度でいれば、来館者の足が遠のくのも分かりますね。エリート意識を持っていちゃだめだと。
美術館関係者の役目は、人々にアートを分かりやすく説明する事なのだから、と熱っぽく語っていた様です。

美術館がスターバックスである必要は無いが、来館者にとって、美術館に足を運んだ人が、そこに足を踏み入れて、出てくるまでに何を体験するか、それがある種「ハプニング」でなくてはならない、と言っています。

2003年に彼がヴィクトリア&アルバート美術館に赴任したときはスタッフはなんとそこで勤務している事を恥じていたとか。古くさいイメージが定着してしまい、職員も代わり映えのしない毎日に働く喜びを見いだせないでいたのでしょうね。
複数の部門で横の連携が全く機能しておらず、建物は古くさく、資金も無く、来場者からは入館料を取り、、、「信じられない」とダミアンさん。資金は他から調達するべきで、やってくる人から徴収するべきじゃない、と。

そこから数十回ものブランディング会議(V&Aというブランドを構築する為)、ワークショップを重ね、それまでの豊富な知識体験を生かす事を徹底。そして意識もV&Aが世界でもっとも重要なアートインダストリー美術館であるべきという方向に持って行ったようです。
具体的にいつ、とはあげられないそうですが最終的にはそのメッセージはスタッフ達全員に行き渡った模様。
そしてホィットモア氏が提案した最初の展示会、ヴェルサーチのファッションのポスターを見たスタッフ達は、V&Aのロゴが展示会そのものの写真より3倍も大きいのに驚いたとか。

もっとも重要なのはテーマに対するV&A美術館の「観点」であり、テーマそのもの(この場合ヴェルサーチのドレス類)ではないという事だったのです。
数十万人がそのメッセージを受け取り、理解し、マドンナがオープニングにやってきました。

「難しいのは、その後の成功の維持です」

継続して成功する為に必要なことは、展示会だけに頼っていてはだめだということです。
美術館とは、建物そのものではなく、コンテンツのプロデューサーでなくてはならないと。
展示自体は美術館の仕事の一部に過ぎないのだとか。
昨年のV&Aの「デビッド・ボウイ展」にはロンドンで30万人が来場しました。その後、各地へ巡回。

興味を持った100万人がV&A会報でその内容を読んでいます。
そしてなんと一千万人が展示内容を知ろうと美術館のサイトを訪れています。
V&Aはこの為だけに単に作品紹介にとどまらない特別コンテンツを制作したとか。


なるほどねぇ、、、

ダミアンさんはグッゲンハイムについては、現代において、奇抜な建物を建てる事で集客しようとするコンセプトがまだ有効かどうかは分からない、としています。
ヘルシンキ市民も、高いお金を(つまりは税金が大部分だろうし)つぎ込んでうまく行くかどうか分からないものに投資するより、普段よく利用する、既存の複数の図書館の所蔵書籍を補充するなり設備補修するなり、もっと良くしてほしいといった要望も昨年出ていましたね。

というわけで、現在美術館が危機というよりは、危機感を持っている、持った方がいいという事なのですが、
面白かったので取り上げました。

最後にダミアンさんからは「キアズマ美術館の名前は絶対変えた方が良い!喘息(英語でasthma)か、女性用バイアグラを思い起こさせるよ!ヘルシンキ現代美術館でいいじゃないか」とのこと。
さて、どうでしょう・・・

旅行に来られる方は、「ええ〜じゃあ行くとこがないの?」という事は有りません!
アテネウムも「シベリウス展」を10月からやっていますし(私は今月家族で行きます!)、EMMAなどもありますし、美術館だけでなく他にもデザイン・ミュージアムなどもありますし、、、、

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個人的に一番文章がお上手だなと思うのはオウルのカトさん。どれも読み応えがあって、読み物としてまとまりがあります。既に一冊の本になる分量と質を十分備えていると思うのです。いや私なんて好き勝手書き散らすだけで、全然だめだな、としみじみ思う訳ですよ。

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by wa-connection | 2014-12-06 06:29 | finland in general