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フィンランドで開業している私達のビジネス、ライフ・スタイル ブログです。 This is about our business and life in Pori, Finland.


by wa-connection

”一時的シングル・ファーザー”という役割。

日本からのお客様には、私が同行しているお仕事の際、「お子さん誰が見てくれてるの?」というご質問も割とあります。

我が家では、夫の両親は既に他界しているのでぽんと預けられる親戚もいません。(それまでは本当によく助けてもらいました、しょっちゅう預かってもらってその間に仕事を済ませたり用事をしたり・・感謝しきれないくらいです)

というわけで夫婦でやっている弊社の場合、夫が外に出る仕事の時は私が、私が不在の時は夫が家にいられるよう調整、と時間のやりくりをしています。具体的には、動かせる余裕のある予定を延期する、といったことでしょうか。私に出張予定が入ると、その日に夫に仕事上の会議があれば相手に連絡し、もう少し伸ばしてもらう、または電話会議で済ませる、といった風です。大抵のことは何とかなります。
お仕事を引き受ける前に互いに予定を確認しますので、どうしても動かせない予定の時は代わりに信頼できる同業者をご紹介します。

ここのところ毎週のように数日ずつヘルシンキだったので、夫はかなり「シングル・ファーザー」づいており、子どもたちの学校が始まっていて毎日宿題もありご飯を作り片付け習い事、スポーツの送迎と、数日留守にして私が帰るとクタクタになってあと頼む、と口数少な目。しかも初秋は気温差で風邪ひきさんが勃発するシーズンでもありまして、例にもれず息子たちもクラスメートから風邪菌をもらってきたり、逆に上げてきたり(汗)しているようで、医者通いも2,3回加わり、投薬も朝晩それぞれどの薬か、と忘れないようにするのはやはり面倒なよう。
まぁねぇ、世のお母さんたちはこれを難なくやってのけているわけですが(ぼそっ)。おだててやってもらわないと。

2か月ほど本人もまったくガス抜きができていないので(つまり日常が取り巻く、この町からほとんど出るということがない)かなりストレス溜まっています。私も今日で外出続きだった期間が終わりましたので、しばらくデスクワーク主体でお仕事します。さて、私の居ない間、三人でどんなものを食べているのかというと、夫の料理レパートリーはアジアものを作らないため、もっぱら「洋物」っていうんでしょうか。
一例:
・アンズタケのクリームベーススープにライ麦パン
・スモークサーモンのキッシュ
・パスタ(カルボナーラ、トマト1kgを湯剥きして作るソースのパスタ、バジルと松の実をすりつぶして作るペストなど)
といったところです。
頑張ってくれているんですが、人数分作りきりの量が多いので、あまり残らない・・・私は多めに作って翌日など、自分のお昼ごはんにすることが多いのですが。
いや文句は言えません。
感謝してます。
でも4日ぐらい続くとさすがにどこかで子どもたちの送迎の時間が重なったりしてご飯を作れずピザという日もあるようです。

はい、有難いことです。おかげでヘルシンキにいる間、仕事上がりにビール一杯なんてこともやらせてもらってます。(鬼嫁)
個人的な話が長くなりました。

我が家は自営業でフルタイムでないので、いわゆる完全共働きではないですが、どこのおうちもお互い融通しながらなんとか日常を回しているようです。
以前、とあるフィンランド企業に視察団の通訳として同行しまして、夜に交流会のディナーがあったのですが、社長さんは出られないとの事。
理由は「妻がヘルシンキに出張中で、僕が娘たちのバイオリンのレッスンに送迎しなくちゃいけなくてねぇ」と。
当然、習い事の送迎だけじゃなく、晩御飯、寝る前にシャワー、歯磨き、着替え、宿題のチェック、小学生低学年ぐらいなら読み聞かせなどもあるわけですよね。

でも大丈夫、実務担当者とマネジャーがちゃんとフォローしてくれてましたし、社長さんいないからって晩餐の場が成り立たないってことはありません。そういう時のための副社長なり中間管理職ですよ(おい)。
思うに、自分がいないと成り立たないという仕事の仕方ではいざという時(病気や病児看病休暇)休めませんよね。以前仕事ができる人の条件にいなくても回るよう情報を共有している事、指示を出す、事前に同僚に相談しておく、、その他のポイントを読んだ事がありますが当たっている点は多いと思います。


フィンランドで、10歳未満の子どもが熱を出したり体調不良で学校を休むと親も4日まで無給ですが仕事を休めます。それ以降は医師の診断書を職場に提出する必要がありますが、病児保育という事は考えません。親のどちらが仕事を休めるか、というので夫婦も険悪になりますがなんとかするしかないですね。より苦労するのはシングル・ファーザー、シングル・マザーの家庭で元妻、夫が遠方の場合でしょうか。
祖父母がそばにいない人もいますし、うまくいってない場合もあれば(汗)、また近所とネットワークがない場合もありますよね。

タイトルのシングル・ファーザー、これに気を悪くされる人がいないといいのですが、フィンランド人たちの会話でよく聞く言葉がこれ。YH。
ユースホステルじゃないですよ。Yksinhuoltaja(一人で(子を)育てる保護者)つまりシングルファーザーかシングルマザーのことです。略してyh-isä, yh-äitiなどと言ったりします。yhの発音はイューホー、、うーむYの発音がカタカナにしにくいので難しいですが。
また夫婦でどちらかが不在の時に「うち、明日から妻が土曜までいないんでyh-isäやってるんだよね」といった会話にも出てきます。知人にもシングルマザー(離婚、死別して一人で子どもを育てているお母さん)が何人もいますが、頭が下がります。
実際割合としては、シングルマザーの方が多いでしょうかね、でも離婚した家庭で子どもが二週間ずつ父と母の家を交互に暮らすというやり方は結構定着してきています。遠方だと大変ですけれどね。学校はどうするのかとか。親が再婚してもできる限り続けられます。

ちなみに「ゴルフ未亡人(Golfleski)」という呼び名もあったりします。ゴルフは18ホールラウンドすると4時間、練習にもう少し早く行きますし食事、着替え、往復時間を考えると丸一日かかる事もしばしば。というわけでゴルフに熱中している配偶者がいると残された方はやもめ状態、という訳ですね。
ゴルフだけじゃなくマラソンやトライアスロン系の趣味を持つ人たちも相手の放置率は高いですね。
これら持久力を要求されるスポーツは最近結構人気です。

それにしても、日本で職場に気を遣い、病気でぐずる子を後ろ髪ひかれつつ預けないといけない親は大変ですよ。
しかも「そこまでして仕事しなくても」とか「迷惑かけられるからあの人と組みたくない」と言った目で見られることもあるのかなという想像もします。もちろん、父親が日本で育児休暇を取る率も以前より上がったと聞いて嬉しくもありますし、外資系だけでなくもっと前例が増えるといいと思います。それに北欧が全て理想的というわけではありません。北欧各国でも制度、実際に現状がどうなのかといった差はありますし。
日本は法制度上はすでに割と整っているという話も聞きます。
あとは実際に使う側が引け目を感じることなく利用できるようになる環境ではないでしょうか。

もっとも進んでほしいのは職場ですが、そこだけではないですよ。
大学も、学校も横一列並べでなく、多様な人を受け入れられたらもっと面白い場が生まれると思います。
こちらの大学だと赤ちゃん連れの学生もちらほらいますし、授乳しながら講義を聞くっていうのも授業によるかもしれませんが、アリです。
赤ちゃんがぐずったら友人同士であやしながらできる人がノートをとったり、あまりに泣き声が大きくなったらちょっと廊下に避難して、あとで友達がこういう講義内容だったよ、とフォローしてくれたりということもあります。
それに、最近の傾向で対面で授業というのも減っていますから自宅でディスプレイ越しに受講だとよりこういう家庭状況にも対応しやすいかもしれませんね。対面授業の良さは失われるので、利便性とはかりにかけるといい面、悪い面は両方ありますが。
年齢も社会人学生が増えればもっと互いにメリットもあるように思います。

いうなれば、どんな社会でも子どもがいない人もいる人も、独身でも既婚でも、相手を思いやり融通をきかせられる、寛容な社会に一歩、いや半歩ずつでも進んでいきますように、と一時的シングルファーザーの話題にかこつけてですけれど願ってやまないわけです。



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by wa-connection | 2015-09-11 00:16 | kids