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フィンランドで開業している私達のビジネス、ライフ・スタイル ブログです。 This is about our business and life in Pori, Finland.


by wa-connection

一年ぶりに

お久しぶりです。

一年以上放置していたブログ、久しぶりに更新してみます。

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(世界で最も美しいMUJIをフィンランドに作りたいとHabitareメッセにて語ったMr.MUJIこと会長の金井さん。会場が「おぉ~」とどよめきました2017年9月半ば)

2017年は元旦から結構突っ走っておりました。


仕事が忙しくて、ワーク・ライフ・バランスにずっと悩みながら、受注する仕事が増えると「子どもたちの事は全部僕がやるの?家族をなんだと思ってるの?」という夫と(もっともなんですけど)夫婦で話し合いというか何度も喧嘩もしながらの一年でした。

頂くお話を全部はお受けできる訳ではないですし、また依頼が同じ週に集中する事も多く、信頼できる同僚に何度も頼んで振り分けたり、どうしてばらけてくれないんだろうなぁ、と自分勝手なことも思ったりしましたっけ。

最近、久しぶりに落ち着いていて、合間に読書する時間ができたりして、溜まった事務処理や断捨離にあてています。それでもなかなか進まないものですね、10年以上経ったファイル等も処分しないと場所がなくなるのでやらなきゃ、と思いつつ見直すとこれもまだ勉強しなきゃいけない分野だったとか、すっかり忘れてるとか(汗)、まとめなきゃとか、思い出があったりで色々捨てられないものばかり。

こんな仕事、こんなお客さんとも出会いがあったな、とか懐かしく思い出しながら手がお留守になるわけです。

さて去年はどんな分野の仕事をしていたかというと、相変わらず工学系のお仕事は多かったように思います。

金属(非鉄)、エネルギー(電力:変・送電、電磁界、ごみ発電、熱電併給、バイオマス、スマートシティ、ヒートポンプ、等)、電力でも原子力発電関係では(PRA、リスク管理、リスクコミュニケーション、安全文化、バンカーシステム、放射線防護、最終処分、建設)、IoT、AI、VR、AR、通信(5G、データベース、クラウドNWアーキテクチャ、保守)、自動運転(法制度、サービス、MaaS)、医療(遺伝子治療、プレシジョン・メディシン、バイオバンク、医療倫理)、IPR案件も少しずつ増えてきました。これは係争につながるデリケートな場面では、双方に弁護士、通訳が付き、互いに不利益な状態にならないようにセッティングからして入念な準備がなされるので、こちらもかなり気を遣います。

エンジニアリング系に戻ると、水処理も今後地球全体でとても大事なところですけど、少しは分かってきたような「気」がしてます。ただ、ちょっと詳しくなったと思ったという事は実際はまだまだ分かってない状態なんですが。関連して環境トピックも幅が広すぎて‥。マイクロ・プラスチック問題から低炭素/炭素フリー社会、大気汚染、ブラックカーボン(黒い粉塵がついて、太陽が黒い色のところに当たると集中して光を吸収して氷河をどんどん溶かしてしまう、現在進行中の深刻な問題)にメタンに...。メタンはいい燃料なんですけどCO2と同じく大気圏内の温室効果ガスのカテゴリなんですよね。

北極評議会でもこれらトピックを扱いますが、フィンランドが議長国でしたし、日本は常任オブザーバー国として参加していますので日本も実は他人事ではありません。

医療から関連していえば、福祉関係で母子保健でネウボラのアポ取りに通訳も相変わらずありました。箱物だけ作って終わりにならなければいいのですが。

出身地の福山市長団の皆さんも昨年お迎えし、アポ取りに非常に苦労しましたが、視察団に大学の先輩がいらしたりして、市長もとても切れ者の素晴らしい方で、夏の一番の思い出となりましたし福山では保育士の資格を持つ方を巻き込んでの独自のネウボラ・システムがスタートし、現在も市の方とは時々やりとりがあります。

あと、高齢者介護施設、病院、障がい者の自立支援組織、介護ロボットの現場におけるニーズ等情報収集もありました。

観光トピックについてもありましたね。動物園視察やヘルシンキ・マーケティング、エアポートセールス。

日本はオリンピックに向けてこれから3年が勝負ですね、そしてその後がどう流れをつなげるかが正念場なのだろうと思います。

ソフトな分野もまだあって、昨年は良品計画さんがフィンランドの家具見本市Habitareに欧州で初めてポップアップショップを出されて、基調講演が別名Mr.MUJIの金井さんだったので、そのプレスリリースなど10カ月近く訳すという楽しいお仕事もありました。当日はかぶりつきで聴いてわくわくしたものです。トップの写真はその時のもの。


夏は小中学生の団体さんとも4日間通訳のお世話させていただきました、みんな賢くて明るくて癒された日々でした。教育視察は同業でやってらっしゃる方が多いので私にはそんなにお話はないですが、今年に入って創造都市の方々のフィンランド教育視察はビジネスで流行りのデザイン・シンキングが教育の場面にも進出していることがとても興味深かったです。(ユネスコは世界遺産カテゴリ―で有名ですけれど、創造都市リンクという世界数十都市の繋がりもあるのです。ヘルシンキも、日本では神戸市も、名古屋市も入っています)あと教育ってあまり単語を必死に調べたりしなくてもすいすい訳せて、とても楽!かつ楽しい(同じ字ですね)分野でした。改めて自分が文系なのを思い知りましたね。

9割通訳だったような気がしますが、翻訳も。

実務翻訳に加え、4か月にわたって商談のコレポン(メールのやり取りを双方に訳す)とか、映画字幕の監修、一部のみチェックも数本。

仕事以外では、せめて少し位子育てを、と習い事の面倒や試験勉強の手伝いを少しだけ、新聞を読むのも滞りがちで読書はつぎ込むエネルギーがありませんでした。ゴルフも全然できなかったなぁ。


移動も多かったですね。去年もスウェーデン5回ぐらい、ベルギーや英国、、と何度か国外出稼ぎもさせていただきました。中には「いつならセルボさん空いてますか?」とこちらのスケジュールを気にして下さるお客さんもあり、不規則な仕事の弊社としては大変ありがたいです。

さて、去年やった中でもテーマとして面白く、これは、と思った分野の一つは循環経済(サーキュラーエコノミー)

今後の注目度がさらに上がる分野だと思います。

その分野の仕事で、昨年第一回の世界循環経済フォーラム(World Circular Economy Forum)がフィンランドで開催。

主催はフィンランドのSitra(原語の直訳ではフィンランド独立記念基金。通称で「フィンランド政府イノベーション基金」と訳されることが多いようです。将来のイノベーションや持続可能な発展のプロジェクトに出資する)です。

この通訳(逐次と、基調講演パネルディスカッションの同時通訳と、そのほか会議で)をやらせていただく貴重な機会を頂きましたが、多くの分野が関係するとても面白いテーマです。

また大昔にロンドンに留学していたころの開発や国際関係も結構遠からずな分野で懐かしさもありつつ、ゲストスピーカーがUNEP(国際連合環境計画)の人もいましたし、SDGs=持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)はこの時何度も出てきたキーワードでもあります。

実は第二回が今年10月後半にパシフィコ横浜で開催されます。

https://www.sitra.fi/en/projects/world-circular-economy-forum-2018/ 

日本の環境省とSitraの共催ですので、ご興味のおありの方はストリーミングなどがおそらくあると期待されますし、ぜひご覧になってみてください。

千名程度と人数が限られていておそらく招待制となりそうですので。実際昨年の第一階はヘルシンキのフィンランディアホールで開催だったのですが、それほど収容人数も多くなく、当日前に制限が入るほどの盛況でした。多くの人が動画ストリーミングで視聴していたようですよ。

そして期間限定で大盛況のうち先週閉店したファインダイニングのレストラン、ヘルシンキの港近くのフィンヤーヴェルの次のコンセプトも発表されました。

上記のSitraが出資し、同じシェフ二人組とスタッフが、フィンランド伝統食文化から今度はコンセプトを循環経済にして如何に持続可能な開発を「食」を通じて実行できるか、に挑戦するUltima20185月半ばにオープンします。

前のFinnjävelは決して安いお値段ではなかったのですが、一度友人とその月一度の贅沢と称していってみたときはとてもおいしかったです。

頑張ってくれましたが、サービスが慣れていない(でも気持ちがうれしいかな、という)初々しいホール担当の人も、もうだいぶ慣れたのではないかと思いますのでまたお小遣い貯めて贅沢できそうなときに行ってみたいと考えています。


ずっと営業するエネルギーがなかった出版翻訳もまだ心の底でくすぶっているので、完全にあきらめたわけではありません。2年前に一旦諦めたシベリウスのグルメ評伝(https://www.f-musiikki.fi/nuotit/kirjat/kirjat/jean-sibeliuksen-poydassa-lehmusoks-9789527043073)は、まだやってみたいと思っていますし、そのほかにもちょくちょくこれは良さそうだというフィンランドの小説やノンフィクション本があります。また気長に取り組んで、皆さんにご報告できるといいなと思っています。

では、みなさんお元気で。
# by wa-connection | 2018-04-09 19:58 | work
あけましておめでとうございます。_d0093885_223257100.jpg

あけましておめでとうございます。

昨年秋に記事を書いてから数か月もご無沙汰してしまいました。

前回の記事を見てみると8月に経験したセミナーで止まっているという…(恥)

昨年は秋以降も本当に仕事上多くのご縁があって、半年かけて先方と協力しつつ準備した案件が無事
終了したり、数度視察団のお客様と通訳でスウェーデン、デンマーク、ドイツやスイスにも
出稼ぎ(?)に連れて行って頂いたり、複数の場所に初めてうかがい、某研究所でも
久しぶりにいい通訳がきてくれたと言って頂いたり嬉しい評価をたくさんいただきました。

実際は私の中では8割の出来だったなとか、毎回もっとそこかしこで良くできた筈だったとか反省点
ばかりで優しいお客さんに助けられている部分が多々あります。

あけましておめでとうございます。_d0093885_22331076.jpg

(画像は二枚とも12月半ばのスイスから。中世の小さな街ムルテンにて)
言葉は最近近隣諸国に出ているときだけでなくフィンランド国内でも日・英が殆ど、とその割合が増えています。
分野としては罰ゲーム(文系の私には)なんじゃないかと思うほど技術、工学系が多かったです。
食べ物や教育文化などもっと楽しそうなお話しは無いかなぁなどとも思ったりすることもありますが、
求められている分野で力を尽くすのが居場所なのだとも思います。
昨年はずっとコンタクトしたいと思っていたお相手とも確かな手ごたえを得ることができました。
逆にお受けできなかったお仕事も何件かあり、申し訳ない事になりました。
こちらも重なるとお受けできないですし物理的に無理だったとはいえ。

そしてビジネス・マッチングも少しずつ増えています。これは毎回ホームランと言う訳には
いきませんけれども経験豊かな友人の言を借りると相手あっての事だし、こちらがいくら
セッティングしても当事者同士が合わない事もあるということでまさにその通りだと思います。
新たなお客様からのリピートのご依頼も嬉しいものです。

毎回新しい分野に親しめるのもこの仕事の醍醐味で(冷や汗はかけど)、好奇心というか野次馬根性旺盛な自分に合っているとも思います。世の中の流れはIoT、AI、オートメーション、5G、再生可能エネルギー、シェアリング経済ですね。
この仕事をしていて本当に良かったとつくづく思います。

大手、安定とは程遠いですし、親もゆったりしたサラリーマンと結婚して幸せな専業主婦をしてほしいとか思ったこともあったでしょうが私には多分非常に居心地悪いものだったと思いますし向き不向きはあるものです。
子育ては仕事よりよっぽど大変だともいまだに思います。
苦労はありますが全部身になるものですし、仕事とそれを運んできてくださる数々の人のつながり、お客様に恵まれて、こんなに幸せでいいのかとほっぺたをつねりたくなる気持ちです。

こうして2016年後半はあっという間に終わり、夫は妻が不在のためますますシングルファーザーぶりが
板につき自分の出張はずらす事ばかりでかなり迷惑をかけました。私も家を空けるのは最長1~1週間半ぐらいですが帰ると洗濯、ご飯作り置き、夫がよくわからない子供達の音楽の宿題、などてんてこまいです。
それ以外は息子達の宿題、行事、習い事、テスト勉強、返されたテストのチェック、長男の試合や合宿、毎日のご飯づくりと家事に加えかなり夫もストレスも溜めていたと思いますし、3か月前から予約していたジャズコンサートなど、二人でデートする約束も数度キャンセルしたりしましたし。

今はクリスマス前から里帰りで日本に2週間帰国中ですが、京都・奈良を子供達にさらっと見せることができ、家族で日本を楽しんでいます。清水寺、金閣寺、そして奈良の東大寺と春日大社(と鹿たち)、錦市場、どれも楽しかったです。

そして実家に来て妹宅で一週間お世話になり美味しい手料理を毎日作ってもらい(手伝ってない私)、夫とは親に子供達を頼んで久しぶりに二度ほど夜遊びさせてもらい美味しい瀬戸内海の食材を使った居酒屋さんやバル、フィンランド語の名前を付けた地産地消のレストランLuontoさん、ジャズバーDuoなど楽しませてもらいました。二人で出かけたのは本当に半年、いやそれいじょうぶりです。

第二次大戦時の広島県呉市を舞台にしたアニメ映画『この世界の片隅に』も観ることが出来ました。
かなり丁寧に作りこまれた名作です。福山市で一週間だけ上映していたのに滑り込めました。
もし機会があればぜひ皆様にもお勧め致します。

そして年末から実家にお世話になっています。
子どもたちは4年生の姪っ子と毎日のようにあれこれやって日本語もだいぶ戻りました。
相変わらず訛っていますが。きゃぁきゃぁわぁわぁ楽しそうです。

長男は今年空手の試合でストックホルムにて初の海外遠征も体験しいい指導者に恵まれ、
学校の勉強もまぁまぁ頑張っています。父の従弟が聖堂流師範という事が今回の里帰りで判明し(私が今まで興味を持っていなかったので耳に残っていなかったのですねぇ)稽古も見せて頂くという運にも恵まれました。
次男はよくいえば我が道を行くですね、やればもっとできるのにやる気が年に数回しか降臨してくれないので。やっぱり才能ではなく実を結ぶのは努力ですね。結構手を焼きます。
二人とも元気なのは本当にありがたいです。

今日は地元の氏神様にお参りし、お守りも家族に購入。夫は東大寺で買ったので浮気せず(笑)買いませんでしたが。次男、なぜか厄除け。←11歳にして何をお祓いしたいのか・・・の年男。父も実は年男です。落ち着かないのは似ていますね。

一年の計は元旦にありといいますが、今年は特に目標を立てているわけではありません。
学びたいこと、分野は仕事に関してたくさんありますが。
ただ家族、実家、友人たちを含め皆が大きなケガ・病気をせずそれぞれが好きな事を楽しみ、それぞれの分野で活躍してくれたら素晴らしいと思います。

年末にお亡くなりになった尊敬する渡辺和子さん(通った高校の修道会系列大学の
理事長を長く勤めておいででした)のご冥福をお祈りするとともに、もうそろそろ
いい年ですし、渡辺和子さんの言われた置かれた場所で咲く、つまりは謙虚さを身に付けなくてはと思うものの、自我が前に出過ぎてまだぜんぜんだめですね、はは。

中年にして未だ身の処し方をわきまえておりませんが、本年もどうぞよろしくお願いします。
# by wa-connection | 2017-01-01 21:42 | work
8月にフィンランドセンターによる翻訳者セミナー参加_d0093885_20521618.jpg

(画像は個人特定をできるだけ避けるため解像度を多少下げてあります)

8月に、これまた家族に迷惑かけたのですが、Suomi Instituutti、フィンランドセンター及び様々な関連組織、担当者の方々のご協力の上に実現した翻訳者セミナーに参加してきました。場所はヘルシンキからまず電車で一時間のコウヴォラという町へ、そこからバスで1時間前後(参加者と喋りまくっていて正確な時間は不明)中部に近いOrilampiという宿泊施設へ到着。ほぼ南サヴォ地方のそばにある湖畔の古めかしいホテルでした。本当に素晴らしい経験だったのですが、唯一つらかったのは、費用を負担して頂いている身で言うのは心苦しいですが、(普段割と頻繁に和食系を食べている身にとっては)毎日三食フィンランド料理だった事でしょうか。しかも三日でローテーション。悪くないお料理でしたが。あ、しっかり頂きました!

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(ここで一週間近く缶詰め)
さて、これは昨年福井県にて実施された同様のセミナーの逆バージョンだそうで、去年は日本語からフィンランド語に訳す翻訳者達を集めて実施、今年はフィンランド語から日本語への訳者を集めるという趣向でした。

年末にお声がかかり、多分この人たちが来るんだろうなと思っていた方々がやはり参加されていて、今まで憧れていた出版翻訳者、フィンランド関連でいえばまず名前があがる人たちが目の前にいて喋っていて、私も力不足ながら(頭数合わせ的なラッキーで選ばれた立場ですが)同じテーブルに着くことができ、本当に光栄でした。
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以前共訳を出したときご一緒した方が男性なのですがご多忙の為参加ならず、残りは全て女性という構成。この業界確かに女性の割合高いですね。フィンランド側で一人男性がいらっしゃいましたが、通常サウナの順番は数が多い方がやはりいい時間を貰えるので女性が少ないと男性陣が2時間ぐらいサウナに入ってたりするんですけど、今回ばかりは男性の彼は私たちの前か後に可哀想に一人で入るというめぐり合わせ。その分我々女性陣、満喫させて頂きました。夕日の写真はサウナ後泳いだ時のもの。毎晩風景も風の音も国立公園の近くでしたし最高でしたね・・・

参加者の内訳もさまざまで、出版翻訳者、コーディネータ、ライター、ムーミン研究家、通訳兼公認翻訳者(日本語にする方)、フィンランド語の教科書執筆、そしてフィンランドで使われている教科書を日本語に訳した人達、映画字幕を付けた人、大学の講師、建築家、大学院生、公務員と様々な職業の人が集まっていて日中のみならず毎晩の雑談が面白いのなんの。殆どの人がフィンランド大学院終了か留学した人たちじゃなかったかなと思います。

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フィンランドサイドからは私やほかの多くの人がこれまでに教わったことがある先生で、日本在住のライヤ先生、ヘルシンキ大学の日本語学科の講師、公認翻訳者(フィンランド語にする方)、日本語学科の学生、そして私の尊敬する翻訳者クリスティーナ・ドレウズ女史(Christina Drews)。(英語からフィンランド語)彼女は翻訳者協会の会長を務めたこともあります。以前フィンランドのベテラン翻訳者の記事について訳したことがありますが、まさにそこで取材されていたナバコフの超大作を訳した人です。最近の作品はフォークナーだそう。記事での訳者もう一人がピンチョン超大作を訳したユハニさん。
その時のブログ記事はこちら

事前に二冊のフィンランド語小説の課題を貰い、("RAMBO" by Nadja Sumanen, "Mielensäpahoittaja" by Tuomas Kyrö)その本を読み、該当箇所(数ページ~一章近い量)を訳し、事前にファシリテーター役である方に送付し、開始時に配布してもらい各自皆の訳を読み込みました。
十名いれば本当に十通りの訳があるものです。皆それぞれ違っていて、普段同じものを誰かと同時に訳して比較するという経験はないため、非常に参考かつ勉強になりました。
お互いのミスを指摘するのではなく、どうしてこう思うか、こだわりはあったのか、別の訳し方はあるか、色々四日間に渡って話し合いました。フィンランド語教えている人たちは「ここは仮定法だから、こちらは条件節でこうなる」とか文法的な事をきちっと考えつつ訳していてフィーリングでやっている私と雲泥の差。個々のバックグラウンドが本当に出てきますね。そして本当に脱帽だったのが、日本在住の方が過半数だったのですが、フィンランド語のレベルを日本でも維持されている事。私なんてこっちに住んでいて24時間フィンランド語の環境でほっておいても耳に入ってくる環境ですが、日本ではそうはいきません。並々ならぬ努力の賜物だと思います。
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三日目には課題作品の著者二名も訪問してくれ、記念写真とサインも頂くというおまけ付き。訳したのは一部とはいえ流し読みではなく(何度も読んで悩んで文字にもう一度生み出した程)読み込んだ本ですから、それらの作者に会えるのは感激でしたよ。みんなでサイン貰いに並びました。
そして内容についてどうしてこう書かれたのかなどの質問をすることもできました。

実はこれまでこんな体験、無かったなと改めて感慨深かったのですが、一度に十名(+4名がそしてフィンランド人側も英フィン翻訳者のクリスティーナを除き全て日本語を自在に操る)もの日本語もフィンランド語も深く分かる人たちと、しかも大好きな読書、書籍に関するトピックで何日も同じ場に会したというのはものすごく濃密な空間でしたし、幸せでした。
普段はお客さんとご一緒していてもフィンランド語などご存知ない方々が殆どなわけですから。しかも両方の言語がわかり、殆ど皆がフィンランド在住経験、留学経験または日本在住、留学、就労経験があり、いろんな仕事上の悩みも同じものや目新しいものをシェアしてもらったりと一生忘れられない経験になりました。(小さいころ本屋さんも夢の職業だった位ですので)やはり一生言葉に関わる仕事を続けていこうと固く心に決めました。

遅くなりましたが、この場を借りて実現に力を尽くしてくださった方々にお礼申し上げます。

さらに4日目には福井のセミナーに参加したフィンランド語訳者4名も参加してくれ、彼らの講話を聴くこともできました。
現代詩や漫画の訳者(この詩人はフィンランドでも今年朗読をされてます)、村上春樹&平出隆作品の訳者、ドラゴンボール&ワンピース、銀牙、と数々の漫画をフィンランドに紹介してきた訳者、一冊出して次がまだ決まっていないからと芥川龍之介の『歯車』を自分で訳してしまった若い男性も。『歯車』は遺作で、死ぬ前の色々な心の闇があちこちに垣間見える作品です。火事、事故、様々な色彩を不吉にとらえ、暗示を行く先々で見つけ、、その晩に青空文庫で読んだのですが、私こんな作品訳したら発狂すると思います。
これら四名の翻訳、それに関するこだわりと作品に対する熱い思いは、自分のいい加減な姿勢を反省し、襟を正させるに十分なものがあり、圧倒されました。

私はこれまで数冊のインテリアムック、一冊の共著、一冊の共訳、数々の埋め草記事で収入の足しにしてきたわけですが、翻訳を一生の仕事として取り組んでいこうとまで肝が据わっている訳ではありません。
最近は通訳も割合が多く、出版翻訳、出版自体の報酬の時間給計算などすると、なかなか腰を上げられないのも事実です。
ただ今後数十年まだ仕事を続けていく上でフィンランドの書籍、文学で日本の読者に紹介したいなと思うものにはこれまでも遭遇していまして、様々なところに紹介はしてきましたが玉砕しています。
いいタイミングでいい版元さんと出会っていない、景気もあるかもしれませんけれども(私のリーディング資料が悪いのも理由かも…)いくつかの要素がうまく回っていない時期であったかなとも思います。

心に温めている作品達は版権は確保できる状態ですし、本は逃げないで待っていてくれるのでまたタイミングを見て再度提案も考えています。

さて、最終日はヘルシンキにて、大手出版社Tammiを訪問。
私が共訳したトーベ・ヤンソン評伝もここが版元です。

出版社直営書店もありテンションが上がる。欲しい本がたくさんあちこちに。うわ~と頭に血が上る感覚です。参加者達も私以上にそわそわしてああでもないこうでもない、と物色・購入していました。
そして福井セミナー参加者の一人で漫画翻訳者かつTammi社員であるAnttiさんが版権担当者、その上司に会わせてくれました。
地下の会議室につながる廊下にはタンミ社の長い歴史を語る、歴代お抱え小説家の肖像画が数々地下に並んでいます。
オラヴィ・パーヴォライネンもありました、、、。
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事業紹介を受け、意見交換し、各フロアを見せてもらい、ファンが作ったものが商業ベースとして製品化されたという『銀牙伝説WEED』のぬいぐるみ達が到着したばかりだったそうでそれも見せて頂く。従業員休憩スペースにならんでいました。

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Tammi社は児童文学でも長い歴史があり、各編集者の部屋は関連資料が積み上がり、まるで宝箱。
業界的には大変そうですけど楽しそうな仕事だなと思ったのを覚えています。

セミナーが終了し、一週間近く一緒だった人たちと別れる時はなんだか本当に心が空っぽになりました。
ですが、これをきっかけに多くの人と新たな繋がりができたのは一番の財産だと考えています。大事にしていきたい関係です。
実際にセミナー後も、そのうちの何人かとはヘルシンキで再会を果たすこともできました。何らかの形で協力することができるかもしれないというお話も出てきて、やはり人と人のつながりでこの世は成り立っているんだなと思わされるきっかけとなりました。

一つ一つを大事にしていきたいと思います。

この一週間を男三人で過ごしてくれた家族にはいくらしても感謝しきれません。。。

# by wa-connection | 2016-09-11 19:55 | work

夏の仕事を振り返る。

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お久しぶりです。
(先週位に一度アップしたのですが修正、再掲です)

前回書いた記事から2か月近くたってしまいました。
夏を楽しみつつ仕事もして、あっという間に子どもたちの2か月半の夏休みも終わり
忙しい日常が帰ってきたといったところでしょうか。

夏の仕事でもいろいろ興味深い場所に行くことができました。

来年埼玉県の飯能市にムーミンワールドが完成見込みで、市の方々とムーミンワールドを視察したり、南部フィンランドでネウヴォラ視察にて通訳をしたり、またしてもオルキルオト原発にて低中レベル最終処分場を視察通訳したり、ユネスコ世界遺産であるスオメンリンナ島(要塞ですね)の開放刑務所へ視察通訳に同行したり(これはフィンランド語ででした)、カタヤノッカにある元刑務所をリノベーションした刑務所ホテル(もうオープンから10年近いんですね~)でも関連して通訳をしたり。

アールト夫妻設計に大作、マイレア邸でも建築家の方とご家族(奥様はインテリアデザイナーでAlvarとAinoみたいですね、娘さんも賢くて可愛かった…)に通訳しましたっけ。
8月末はヘルシンキにて国会議事堂にも通訳で。正直緊張しましたが、工事中の国会議事堂の代わりにシベリウスアカデミー(高校)も見ることができてよかったです。国会議事堂は来年の独立100周年に合わせ改装も完成する予定です。
その翌週月曜はSTUK(放射性安全センター、フィンランドの規制委に当たる組織)に行ってチェルノブイリ原発事故関連の調査で北欧を訪問されているグループに通訳。こっちは日英でした。

こうしてみてるとこの3か月通訳が多いですね、翻訳も継続してやっていますけども。
あと弊社を通訳では原発関連専門と思ってらっしゃるお客様もおいでですが、いやもうそれは幅広くやらせて頂いております。
先週は技術関連分野に伺いましたし。

通訳だけではなくてビジネス・マッチング、つまりは会社同士、人同士をつなげるお仕事もご依頼頂いています。(NDAにサインする物が多く書けないケースが殆どですけれど)翻訳やガイド、こうしたマッチング、コンサルティングの方は弊社のパートナー、夫が主に担当しています。夫は何年もヘルシンキにも住んでいましたし私よりは地理感覚もありますし、歴史にも詳しいですしね(汗)なによりフィンランド人が日本語を話すので、現地在住日本人の私がやるより、お客様が喜んで下さる事が多いように思います。夫にガイドを依頼されたお客様は(8月にも昔からのお知り合いに三日間ヘルシンキで同行していましたが)もれなくフィンランドの歴史から文化、食、に関して買い物や観光の合間にレクチャーされる羽目になります。

そして来週末はいよいよ一年前から書いてきたストックホルムでのハーフマラソンです(こんだけ喋ってて完走できなかったら恥ずかしいですが…)。あっという間に一年経ってしまいました。
今年もあと4か月半ですもんね。

さぁどうなることでしょう。
# by wa-connection | 2016-09-11 19:11 | work

息子と走る

閑話休題。
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ポリで市民の憩いの森ともいえるisomäki(大きい丘という意味)の森の中にいくつものコースがあるのですが、今日は次男がその隣にある屋外コートでテニスの練習日。
ということで長男も一緒に往復10kmを自転車でコートそばまで行って森の中を走ってきました。

ん〜負イオンが満ちてる感じです〜。
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もうブルーベリー(正確にはブルーベリーの原種なのでビルベリー=mustikka)もそろそろ熟して来ています。喉が乾いたら時々摘ん食べたりもできていい季節になりました。
でも水のボトル付きベルトつけてたんですけどね。

長男も178cmあるのでリーチが長く気を抜くとどんどん置いていかれそうになりますが、時々振り返って様子を見るの。遅い母ちゃんを気遣うとは!
普段ぼーっとしてるのを叱り飛ばしてばかりだけれど実はいいとこもひょっとしてあるんじゃないかと。
しかし空手で週4回稽古のおかげか、贅肉が無いのは羨ましい。次男と私は背が低くがっちり体型でそっくりなのですが(私の父の遺伝だなぁ)。
頑張って時々インターバルランもしてみました(1分スパート、次の1分普通といったスピードの変化をつける)。

7.8km走って次男を迎えに。次男も気づいたらテニスでリターンは大分うまくなってる模様。サーブはまだまだらしいですが。高校生の上手な子が夏は週二回教えてくれています。

帰ったら足が結構パンパンでございました。
そしておさまるところをしらない食欲。
ああ、、

# by wa-connection | 2016-07-07 00:39 | kids